
平成30年7月の広島豪雨災害へ
私は平成28年4月の熊本地震、平成30年7月の広島豪雨災害の被災地に鳥取県から緊急消防援助隊として派遣されました。緊急消防援助隊とは、国内における大規模災害や特殊災害の発生時に被災地からの要請を受けて、他の都道府県の消防隊が応援の為に派遣され救助活動、消火活動、救急活動を行うために組織される部隊です。
広島豪雨災害では気温40℃を超える環境で数日間行方不明者の捜索にあたり、2名の救出に至りました。この被災地での救出活動は私にとって大変貴重な経験となりました。
救出に至るまでの活動は非常に過酷で、活動を阻む流水の対応や埋没した樹木や車両の掘り出し、そして連日の猛暑に体力を奪われました。活動中は暑さに加え砂埃が舞う中、活動隊は活動服、マスク、ヘルメット、場合によってはゴーグルを身につけ活動するため悪条件の中での体調管理は重要であると感じました。
しかし活動を振り返ると消防、警察、自衛隊、民間業者が同じ目的に向かっていた結果が行方不明者の発見に繋がったのだと確信しました。

人命救助の「最後の砦」
私は現在、憧れていた高度救助隊の一員として働いています。人命救助の最前線で「最後の砦」としてのプライドを持って日々の過酷な訓練に励んでいます。人々が目を背けたくなるような現場や自らの命も危険と隣り合わせの現場もありますが、使命を全うすべく地域住民の安心、安全を守ることに従事できるこの仕事にやり甲斐を感じています。
高度救助隊は火災、交通事故、水難事故、山岳事故、特殊災害等あらゆる災害において人命救助を専門として管内全ての救助事案に出動します。人命救助の「最後の砦」として強い責任感、強靭な体力が求められます。
想像を絶する救助現場に対応すべく日々過酷な訓練や研修を行い、高度な知識、技術の向上に励んでいます。

故郷の地域住民への恩返し
小学生の時、新潟県中越地震で瓦礫の下にいる子供の命を救うために大勢の消防隊の方々が懸命に救助活動を行っている姿をテレビの生中継で見て「格好いい、僕もこんな人になりたい」と思いました。
その後、高校生になり東日本大震災で危険を顧みず災害現場の最前線で救助活動を行っている姿に感銘を受け、消防士を志しました。生まれ育った故郷の地域住民の方々に「消防」という仕事を通して恩返しをしていきたいと思い志望しました。
消防士を志す皆さん、夢に向かって頑張って下さい。
