防火対象物の定期点検制度

平成13年に発生した新宿区歌舞伎町ビル火災では、44名の死者が発生しました。
大惨事となった要因として、階段に避難障害となる物品が置かれていたこと、防火管理者が選任されておらず避難訓練も行われていなかったこと、消防用設備等の点検も行われていなかったことなどの消防法令違反があげられます。
これにより、平成15年10月に「防火対象物定期点検報告制度」が設けられました。一定規模以上の防火対象物の管理権原者は、1年に1回防火管理や施設の状況を資格者に点検させて、その結果を消防署長に報告することが義務づけられました。
また、継続して良好な状態を維持している防火対象物には、点検を免除する特例認定制度も設けられました。さらに、点検基準適合や優良認定証を掲示することが認められました。 (消防法第8条の2の2関係)

防火対象物定期点検制度の画像その1

点検基準に適合している表示

防火対象物定期点検制度の画像その2

特例を受けている
優良認定証

防火対象物定期点検制度の画像その3防火対象物定期点検制度の画像その4

ホテル・旅館等の
表示制度


大規模な施設では、「防災管理点検」も必要となります・・・>防火対象物定期点検制度の画像その5

定期点検と点検済証(セーフティーマーク)

防火対象物定期点検制度の画像その6

定期点検基準に適合する防火対象物は、防火基準適合済証(セーフティーマーク)を掲示することができます。

※管理が分かれている場合、防火対象物のすべての部分が適合しないと防火基準適合済証を掲示することができません。

1年ごとの点検と報告します。

  • 1年に1回、資格者による防火対象物の管理状況について点検を実施し、消防署長に報告します。

資格者による点検

  • 点検は、防火対象物の火災の予防に関し専門的知識を有する「防火対象物点検資格者」に行わせなければなりません。

主な点検項目

  • 防火管理者を選任しているか。

  • 消火、通報、避難の訓練を実施しているか。

  • 防火戸や避難階段に障害となる物が置かれていないか。

  • カーテン等の防炎物品に、防炎性能を有する旨の表示が付けられているか。

  • 消防法令の基準に適合する消防用設備等が設置されているか。

  • その他火災予防上必要な点検項目の点検が行われているか。

定期点検が必要な防火対象物

消防法第8条に該当する特定防火対象物で、次のいずれかに該当するもの

  • 収容人員が300人以上のもの
  • 地階又は3階以上の階に特定防火対象物の用途があり、かつ、屋内の階段が1のもの
    (屋外に設けられた階段等が別にあれば対象外)

防火対象物定期点検制度の画像その7

優良事業所の特例認定

防火対象物定期点検制度の画像その8

一定の基準に適合し特例の認定を受けた優良事業所は、防火対象物定期点検報告を3年間免除され、防火優良認定証を掲示することができます。(消防法第8条の2の3関係)

※管理が分かれている場合は、防火対象物のすべての部分で特例の認定を受けないと防火優良認定証を掲示することができません。

特例認定の要件(抜粋)

  • 管理を開始してから3年以上経過していること。
  • 過去3年以内に、消防法違反による命令を受けていないこと。
  • 過去3年間、防火対象物点検報告が1年ごとにされていること。
  • 防火管理者の選任及び消防計画の届出がされていること。
  • 消防訓練を年2回以上実施し、あらかじめ消防署に連絡をしていること。
  • 消防用設備等点検結果報告がされていること。
  • 検査の結果、特例認定の基準に適合していること。

特例認定の取り消し (消防法第8条の2の3第6項関係)

  • 消防法令に違反による命令を受けたとき。
  • 偽りその他不正な手段により特例認定を受けたことが判明したとき。
  • 消防法第8条の2の3第1項第3号に該当しなくなったとき。

特例認定の失効

  • 特例認定を受けてから3年が経過したとき 。
    (3年が経過するまでに認定の更新を受けることにより継続できます。